ボードゲーム将軍のお座敷遊戯ブログ

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なぜボードゲーマーはインストへの意識が高いのか

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とあるボードゲームカフェやスペースでは、ボードゲームのインストが上手になるための会、みたいなのが開催されてると聞きました。とても良いことだと思います。それで自信をつけた方がボドゲ会を主催されるなりなんなりで、楽しめる場が増えるといいなーと思います。

世間(主にTwitterですが)のボードゲームファンがインストに対してのスタンス、みたいなのが少し不思議に思うところがあります。上手いこと言語化できないのですが、「そんなにみんなにとっての関心ごと?」みたいな。要は遊ぶ上でそれなりに大きな比重を置いているのでは?説明の上手さによって人としての評価が左右されているのでは?という空気を感じているんですね。

これが事実として、どうしてこういう空気になるんでしょうか。推測の域を出ませんが、ボードゲームに対する各々の取り組みにおいて「ゲームが強い」ことに触れられる、またはそれをリスペクトの理由とする文化があまりないことが理由にあるのかな、と思っています。ドミニオンみたいに毎年世界大会が行われている特定のゲームなんかですと、チャンピオンになる(=強いとみなされる)人は注目されるので当てはまらないのですが。なんとなく「勝敗についてはあまり触れない」暗黙の了解みたいなのがこの界隈にはあると思ってまして、その理由は敗者に対する配慮なのかなと。結果はともかく、楽しめるのが大事だよね!みたいな。それの良し悪しは置いといて、じゃあボードゲームにおいてこの人凄い!と評価する分かりやすい物差しとなるのがインストの上手さとなっているのでは、と分析しています。はい、これで記事タイトルの答えの記述は終わりです。

わたしが持つインストへの視点はこちらとは違いまして、「やらなくて済むならやりたくない」になります。理由はとても単純で、とっととゲームを遊び始めたいから、に尽きます。もし「押せば1秒でゲームのルールが勝手に頭に入ってくるボタン」があれば僕は間違いなく押しますし、遊んでもらう方にも押してもらいたいものです。

まあ現実問題そんなものは存在しないので、インストはボードゲームで遊ぶ上では避けられないものとして。一応、わたしも手前味噌ながら何度かインストが上手いと評価していただいたことがあるので、普段心がけている大事なポイントを紹介すると下記の通りです。これらは結局「スムーズにルールを理解してもらってゲームを始めるまでの時間を出来るだけ短縮する」事が目的となっています。

  • 要らない情報はそぎ落とし説明するポイントを絞ること
  • ストーリーがある(=話が繋がっている)こと
  • 相手の反応を伺って話す内容を変える、補足する、例を実演すること

上記について詳細に解説はしませんが、これら以上に大事と考えていることがありまして、それは事前に準備をしておくこと、特に「自分で一度ゲームをやってみる」かと思います。ルールの疑問点というのは遊んでみてからぽろぽろと出てくるのです。1人回しでもなんでも、一度手を動かして出てきた疑問を事前に潰しておけますし、どこがポイントのゲームかも知ることができます。

あと小技としては、簡単なもので結構なのでハンドアウトやサマリを自作、プリントアウトしておくことでしょうか。人間の短期記憶の容量なんてたかが知れているので、ゲームが始まってから「これってなんだっけ?」というのを振り返ることが出来るのは個々人が安心できるのではないかと。ダウンタイム中にでも見てもらえれば、時間の有効活用にもなり得ますしね。

ここまで準備の過程を踏んでおくと、大概の質問にはルールブックを読まなくても答えることができます。ルールブックに記載されている情報は想像以上に量が多く、全部説明して理解してもらうのは脳のキャパ的に無理、と割り切っていいかと。もしそれで漏れがあっても、やり始めてから補足すればよい。説明が上手いことが大事なのではなく、結果的にルールを理解してもらえればそれでいいのです。(もちろんこれはルールの枝葉の部分に該当することで、取りこぼすとクリティカルな部分はしっかり説明しておくべきでしょう。)

ちなみに、この事前の準備にある程度時間を割くことは有意義だと考えています。なぜならば、わたしひとりで過ごす10分と、遊ぶメンバー4人が一緒にいるときの10分は価値が異なるからです。単純に、後者の方が前者と比べて4倍かそれ以上の価値があると考えるべきでしょう。自分ひとりの準備のおかげでここを短縮できることは、とても効率が良いという考えが割と好きです。

これらのノウハウは別にボードゲームの現場だけに言えることではなく、会社内でプレゼンをするときや、ひいてはごく日常で話をするときなんかでもとても大事なことだと思っています。なのでインストを上手くなりたい!と思う方は是非それを他に活かすよう心がけてほしいです。あとは逆の視点で、TEDでも見てもらえば説明がめちゃくちゃ上手いプレゼンターばかりですので、そこからノウハウを身につけてインストに活かすことをわたしはオススメしたいです。

まあ要は何が言いたいかって、インストの技術というのは特殊能力的な職人技ではなく、とても汎用的なものであり、それだけにやたら特化して上手い人はいないのかな、ということです。

最後に蛇足ですが、普通の人に「インスト」と言ってもあまりピンと来ないはずでして、ここでの意味の”Instruction”よりは”Instruments”(楽器)の意味に捉えられてしまうような気がします。「ルール説明」と言った方がいいんじゃないかと思う今日この頃です。

終わり。