バディサスペンスTRPG フタリソウサ (Role&Roll Books)
- 作者: 平野累次,冒険企画局,うらは
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2019/02/23
- メディア: 新書
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冒険企画局より、今年の3月に発売された「バディサスペンスTRPG フタリソウサ」をGMする機会があったので、このゲームの推せるポイントを記していきたいと思います。想像以上に、よくできたゲームでした。
フタリソウサとは
プレイヤーが2人で固定(一応ひとりでも可)というのが特徴。それぞれが探偵か助手の役割を演じ、事件の解決を目指す。TRPGでよく見られるような、数字を基にしたパラメータや戦闘といったTRPGといったシステムはなく、関係性や互いの感情といったバディとしてのロールプレイを重視したシステムになっている。
更に特徴的なのが「知ってたカード」という事件のあらましについて記載されているカードを、あらかじめ見ることができる。これにより、プレイヤーのリアル推理力が試されるというよりは、鋭い推理をしているようなロールプレイができる、いわば探偵気分を味わえるようなデザインになっている。
感情を溜めることで捜査も進む
判定で良い出目が出たり、シーンが進むにつれて互いの感情が蓄積される。それらを「強い感情」へシフトさせることで、重要キーワードを手に入れることができる。感情はロールプレイを盛り上げるだけの要素ではなく、シナリオを進める上でのポイントの役割もある。ロールプレイのための要素とシステムを上手いこと融合した、良い仕組みだと思う。
探偵と助手
このゲームは、PCふたりが探偵と助手のそれぞれの役割もち、それぞれできることが異なる。
探偵
判定に使用するダイスが10面体なので、6面体の助手よりも判定が成功しやすい。事件のあらましが書いてある「知ってたカード」を見ることができる。 まるでなんでも知っている名探偵のように、いい気になれるのが探偵の良いところ。しかし、「異常な癖」によりロールプレイの扱いにはテクニックが必要になるかもしれない。
助手
知り合いのNPCを設定できる。このNPCの持つ技能を自分のものかのように使うことができる。また、セッションが終わるたびにNPCは増えていくので、伸び代がある。
時間制限やアクションのコストに関わる「余裕」や「心労」を管理する立場であり、曲者の探偵をどうサポートしていくか、が助手ロールプレイを楽しむ上でのポイントになる。また、「知ってたカード」を見ることが出来ないので、実は純粋に推理を楽しみたいなら助手の方が適していたりする。
やってみた感想
実際にGMとしてプレイしてみて、想像していた以上によくできたゲームだなと感じた。 フタリソウサが初めてでTRPG経験もまだまだこれから、という方が探偵役だったが、「知ってたカード」が導いてくれるおかげで「この人のここに注目したい」なとシーンの演出をどうするか、についての良い提案をたくさん貰えることになった。
一方、助手は知ってたカードの内容を断片的に聞くことしかできないため、探偵からの「名推理」に関心するような場面が多くみられた。いかにも助手らしい反応が見られたので、ついニヤニヤしてしまった。
冒険企画局の得意とする、キャラクターのパーソナルデータ(名前、身長、背景など)を決めるための表や、インセインなどのシーン表にあたる「シチュエーション表」といった、ダイスで物語を作っていく要素についてはかなり充実しており、もともとサイコロフィクションが好きな人にとっては嬉しいはず。 他にも、「捜査の障害」を決めたりなど、セッションを楽しいものにするための要素がふんだんに盛り込まれている。ロールプレイを通し楽しいドラマを作りたい、という人にはフタリソウサを是非お勧めしたい。
掲載シナリオには注意が必要?
ルールブックに掲載されている3本のシナリオのうち、最も短い3つ目の「箱の中の猫」というシナリオで遊んだのだが、少し疑問に思うところがあった。
- 真相に至る部分の情報の出し方が書いていない
- 知ってたカードと、解説されている内容の真相が一致していない部分がある
フタリソウサ シナリオブック 怪盗からの誘惑 (Role&Roll Books)
- 作者: 平野累次,冒険企画局,うらは
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2019/09/12
- メディア: 新書
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