- 作者: 芥邉雨龍/冒険企画局,高木正文(株式会社ディー・エヌ・エー)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: 単行本
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設定や背景
このゲームのプレイヤーキャラクターは「主人公」と呼ばれます。彼らは特殊な力などは持たない一般の人々です。しかし、心に何かしらの傷や闇を背負っており「発狂」することでそれを起因とするメリットデメリットが効果として現れます。
主人公たちはシナリオ中、「破滅者」が生み出した「異世界」へと足を踏み入れることになり、そこで遭遇する「怪異」を倒すことができれば日常へと帰還することができます。
カードに沿って進むシナリオ
このゲームのシナリオはカードの「オモテ」に記載されたストーリーを読みながら進みます。その続きが「ウラ」に記載されており、それを読んでいくことでお話も進みます。途中で提示されるカードには選択肢が設けられており、どちらを選ぶかによって先に進むためには対応する判定をする必要があります。感覚としては、ゲームブックで遊ぶのにかなり似ているかと思います。
シナリオ中の章の合間に、「幕間」というシーンが挿入されます。これはある程度プレイヤーが自由に演出してもいいシーンになり、意図としては「自動的に進むだけでなく、プレイヤーの意志でお話を作り上げるための余地を残している」というデザインであるとわたしは解釈しています。
判定方法
判定には10面ダイスを2つ使います。目標値以下を出すことで成功となり、1ならスペシャルで10ならファンブルです。特徴的なのが、使わなかった出目をキープしておくことができ、振って出た目と入れ替えることで後で使用できます。これにより、キープしておいたダイスをいつ使用するか?など戦略的に考えるべき要素が増えています。
発狂と破滅
異世界で恐怖と遭遇すると「浸食」という値が上昇していきます。これが上昇した際に、主人公は「発狂」することを自ら選ぶことができます。発狂している主人公は、シナリオの最後に「破滅判定」を行う必要があり、これに失敗すると破滅者となってしまいキャラクターロストとなります。
発狂することで、様々なメリットがあります。
- 判定に使えるダイスが2から3に
- ダメージ産出に使うダイスが1から2に
- 各主人公の持つ特殊能力「クラヤミ」が使用できる
- 「理性」を消費することで、達成値上昇
- 物語の「真相」を見ることができる
シナリオ中に主人公の全員の「浸食」が最大の20点になるか「理性」が0点になると、「闇落ち」となり即座にゲームオーバーとなります。
リスクを取って強くなるかの選択を自分の意志で行うことができる、というのはゲーム攻略上もロールプレイする上でもなかなか熱いポイントと感じました。
怪異との戦闘
シナリオの最後には怪異との戦闘になります。行動は怪異→主人公→怪異を1ラウンドとして繰り返していくという、なかなか独特なものです。怪異は様々な特殊効果を持つ技「穢れ」を使ってきます。主人公たちは好きな技能で判定成功することで、ダメージを与えていくことができます。
GMはやりやすそう。シナリオ作成はしんどいか
シナリオは基本的に手順にそってカードを置いていきそれをみんなで読みながら進むので、GMの裁量に任されている部分が小さくマスタリングはやりやすい部類に入るゲームかと思います。また、主人公たちのもつ能力値は3種類のみ、HPと正気度にあたるパラメーターが「浸食」にまとめられており、このコンパクトさはプレイヤーも管理が楽になっています。
しかし、シナリオを作ることに視点を向けるとカードの内容をかなり作りこまなければならないため、結構大変であることが考えられます。ある程度の文章力も必要になってきますし、シナリオで使われないカードも出てきます。つまり労力に見合うだけの充実感がでるとも限らず、シナリオ制作のコスパが悪いように思います。短めのシナリオの方が、このゲームの魅力を引き出せるのではないか、という気がしています。
短時間で楽しむのに適したゲーム
あまり複雑ではなくゲームブックを進めるかのような体験ができるシステムですので、どちらかと言えば長時間シナリオやキャンペーンというよりは、1~3時間で終わる程度の短めセッションで遊ぶのに向いているゲームだなと感じました。いたるところにコンパクトにまとめようという意図を感じるので、平日夜にやってみようというくらいのノリで遊ぶのにはうってつけかと思います。
- 作者: 芥邉雨龍/冒険企画局,高木正文
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/09/20
- メディア: 単行本
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