ボードゲーム将軍のお座敷遊戯ブログ

ボードゲームや人狼を、もっと遊び安く。もっと深く。Twitter アカウント: @ino_1ban

「新作マーダーミステリー大賞」について思うこと。~疑問が多すぎて、もはやミステリー~

スポンサーリンク

スポンサーリンク

---2019年12月31日 昼過ぎ追記---

www.ozashiki-yugi.com 2019年12月31日、「新作マーダーミステリー大賞」のページがアップデートされたことを確認しましたので、それに関する記事を投稿しました。本記事はそれ以前の要項について記載したものとなっております。 ---以上追記---

contest.murdermystery.jp

上記サイトの通り、「新作マーダーミステリー大賞」といういわゆるコンテストの募集が開始されました。
これについて、思ったことを記載していきます。

※マーダーミステリーって何? という方は下記の記事が参考になります。
平たく言えば「複数人が推理小説の登場人物になりきる遊び」と思っていただければイメージしやすいかと思います。

www.4gamer.net

マーダーミステリーは必ず「シナリオ(物語)」が付随します。ですので、その制作者となる人物が存在します。小説や漫画と同じです。
その制作者から作品を募集し大賞を決める、というのがこの「新作マーダーミステリー大賞」でされることとなるのですが、このページを見ると、いくつもの疑問が浮かばざるをえません。ひとつずつ見ていきます。

応募者への対価

普通コンテストというのは「賞を取ることで何を得られるのか」が応募のモチベーションとなるものです。栄誉だったり賞金だったり、いろいろあるわけです。
この「新作マーダーミステリー大賞」においては応募時に選ぶふたつの部門があり、それにより賞の内容が異なります。
それぞれの章についての記載は以下の通りです。

パッケージ部門受賞作品 プレイヤー人数7名以下、GM不要作品が対象。 即時出版され、既定の印税が支払われます。

公演部門受賞作品プレイヤー人数8名以上、GM必須作品が対象。 主催4団体ならびにライセンス契約団体による店舗公演が行われ、既定の印税が支払われます。また公演部門受賞作品は公演開始から最短1年後よりパッケージ化され、出版される可能性があります。その場合はあらためてパッケージ部門受賞作と同様の印税が支払われます。

ここで注目しなければならないのは、大賞受賞者への報酬として提示されている「既定の印税」という言葉です。これは金額にして、いくらなのでしょうか? 一括で○○円と支払うつもりなのか、売り上げの何%を制作者へ還元するのか、詳細の記載は何もありません。このようですと、最悪「既定の印税は0%です」と言われることもあるんじゃないの? と疑問に思わざるをえません。

これが「大賞受賞者には賞金100万円贈呈!」とかいう明瞭さならば、話はぜーんぜん変わってくるんですけどね。

運営側の権利

「権利」とだけある項目には、以下のような記載があります。

受賞作の公演権、出版権(電子化を含む)は新作マーダーミステリー大賞運営団体に帰属する。

わたしは法律に明るくないためどなたかご教授いただきたいところなのですが、「公演権」というのは一般的に定義され、法に明記されている権利なのでしょうか? そして、それは「マーダーミステリー」というゲームに適用されるものなのでしょうか。少なくとも、Google先生に聞いてみたところでは、要領を得ている情報は得られませんでした。

また、この「公演権」を運営側はどのように定義しているのでしょうか。例えば、大賞受賞者がその作品を友人を集めて遊ぶ会を実施したら「公演権」を侵害されていることになるのか。それは有償、無償によって変わるのか。もしそれに対し運営側が「アウト」と判断した場合、それには法的根拠が伴うのでしょうか。疑問は尽きません。

最悪を想定した場合「もはや大賞受賞者に著作権は認めない」とすら解釈できうる内容だと思います。そうでないというならば、それを保証する一言があってもよいのではないかと思います。

注意

「注意」とだけある項目にこのような記載があります。

• 他の賞との二重投稿、および受賞作の他賞への投稿は認めません。 • 応募いただいたコンポーネントは返却できません。また、応募された作品についての問い合わせには応じられません。

ひとつめについても思うところはあるんですけれど、なんかヤバそうなのはふたつめ。

「応募された作品についての問い合わせには応じられません。」ときっぱり言っています。常識的な解釈をすると、例えば落選してしまった応募者から「わたしの作品のどこがダメだったのですか!?」とかいう質問がたくさん来ても面倒ですよ、という主旨であると解釈できなくもないのですが、この文だとどうももっと広い解釈ができそうな気がしています。例えばですけど、受賞されなかった作品の内容ととても酷似した作品が主催している会社から出てきた場合。ようは「パクられてる疑惑」に対して、わたしの作品と似てません? というような質問に対しても「いや答えません。だってそう書いてたし」と言われるような気がしているのです。

応募に出した作品は、もはや生殺与奪の権を運営側に握らせていると考えた方がいいでしょう。ここからも、下手すりゃ著作権すら主張させないつもりなんじゃないか、という不安がよぎります。

---2019年12月29日 追記---
さすがにこれはネガティブに考えすぎな気がしてきました。というのも「権利」の項目は受賞作のみを対象としているので、さすがに落選した作品を無下に扱うようなことはしないし、著作権は法律で保障される……よね?
---以上追記---

謎の権利

さて、ここまでいろいろと思うところを書きましたが、今までの言いたいことって「言ってることがふわっとしすぎてて、想定しうるワーストケースを考えざるをえない」ということだったんですけど、その不安を更に何倍にもブーストさせる、結構ヤバイ文章が最後にちょろっと記載されています。

本規約の解釈権は運営団体に帰属します。

「解釈権」ってなんですか? 僕は生まれて初めて聞いた文言なのですが、「解釈権」というのは一般的に定義され、法に明記されている権利なのでしょうか? これを言うの、本記事で2度目ですね。

わたしこれ気になってフォロワーさんに聞いてみようとTwitterに投げてみたんですけど、これは造語であるという意見がいくつも聞かれました。だとしたら凄いですね、造語をさも存在している言葉かのようにぴろっと記載してるんですよ。

これだいたい想像することは誰でも同じだと思うんですけど、「このページに記載されてることは運営側の解釈次第でどうとでもなる」という宣言ととらえてるんですねわたしは。例えば、先ほど申し上げた「既定の印税」について「印税0%です」と聞かされた大賞受賞者が文句を言ったら「え? それは問題無いですよ、だってわたしたち(運営側)はそう「解釈」してるんですから。その権利はわたしたちにあります」と言われかねません。もうどうとでもなるじゃん、と思うわけです。

これらの疑問をどこにぶつけりゃいいの?

さて、今までこれだけ言ってきましたがわたしが思う最もヤバいポイントについてはずばり「問い合わせ先の記載が一切ない」ことです。普通、メールアドレスやフォームのひとつくらい用意しませんかね? こういうのって

この「新作マーダーミステリー大賞」ですが、どういう体系で運営されているのかがそもそも不明瞭でして「主催/運営/選考」の3つの役割を担っているのが4団体とされています。ふわっとしてますね。そして「運営幹事」が「株式会社ミスティブ」というところらしいです。「運営幹事」ってなんのことなのか良く分からないんですけど、まあ察するにここが責任者なのかなと思うじゃないですか。じゃあここに問い合わせを入れればいいのかなと……

「株式会社ミスティブ」のホームページはこちらになります。

https://mystive.jp/mystive.jp

あああああ?

2019年12月29日夜現在、思いっきり準備中のサイトが出てきました。軽くホラーだなこりゃ、怖い。

「contact」の部分をクリックしても何も起こらず、連絡先は分からず仕舞いでした。本当に、何かあったときの責任はここが取るのでしょうか。

---2019年12月30日未明 追記---
改めてアクセスしてみたら、ブランクページに変わっていました。ソースを見ても完全に真っ白です。こうなる前は、レイアウトだけ決められて仮置きの文字として「あああああ」と記載されているページが見られました。
---以上追記---

ここまで読んでいただいたら、もしかしたら「ショーグンよ、お前は見方が意地悪すぎる」という考えを持たれる方がいるかもしれませんけど、わたしね、本当に上記の疑問を解消したいと思ってるんですよ。どちらかと言えば性善説寄りの考えを持ってますし、ちゃんと説明してもらって「あー考えすぎだったね、疑ってごめんよ」となるのが一番想定しているストーリーなのですよ。ですがそれを聞いてくれる人がどこの誰なのかもわからないのです。だからこそ疑問と不安を感じざるをえないのです。

どんな人が応募するのか

以上により、わたしが分析する「新作マーダーミステリー大賞」へ応募するモチベーションがある人、というのは下記のとおりです。

  • 対価①として、店舗での公演やパッケージ販売される名誉(?)が欲しい
  • 対価②として、印税が欲しい。ただし、その金額や支払い方法は現時点不明
  • 上記ふたつの対価を得るために、応募作品が運営の好きにされ、完全に自分のものでなくなるかもしれないというリスクを受け入れられる

Twitterで何度も言っている通り、わたしはオリジナルのマーダーミステリーを作成中なのですが、上記のモチベーションをひとつも持っていないため、その作品を「新作マーダーミステリー大賞」に応募する気はまったく起きません。

最後に、わたしが抱いたもっとも大きな疑問が「これに応募する人いんの?」ということです。

「新作マーダーミステリー大賞」という謎多きミステリーを解決することができたら、答えが見えてくるかもしれません。

以上