ボードゲーム将軍のお座敷遊戯ブログ

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【ボドゲ紹介】デッド・オブ・ウィンター ~極限状態で仲間を信用できるか?~

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ゾンビサバイバル系ボードゲームの最高傑作

デッド・オブ・ウィンター 完全日本語版

デッド・オブ・ウィンター 完全日本語版

ゾンビを題材にしたゲームは数ありますが、恐らく最もゲーマーからの評価が高いこちらのデッド・オブ・ウィンター。
何度か遊ぶ機会を貰ったのですが、本当に素晴らしいゲームデザインなので、この前のプレイの様子を通して紹介したいと思います。

表向きは協力型ゲーム。でも揃わない足並み

簡単にシステムを説明しますと、

  • 全員が共通の成し遂げるべき目的を持つ
  • 一方で、それとは独立したバラバラで内緒の目的、「密命」を各自が持っている
  • 手番順で自分のキャラクター(複数、増減する)を動かし、その両方を達成する
共通の目的は指定ラウンド生き残ること、ゾンビをたくさん倒すことなど様々ですが、密命はこの目的と直接的には関係ことがほとんどです。プレイヤー全員が一枚岩で協力できる、という訳にはいきません。 ですので、共通の目的は一見簡単そうに見えるのですが、この密命があることによって意外と苦戦します。

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疑心暗鬼!裏切者の存在

足並みが揃わない、と書きましたが最初から共通の目的の達成を阻止しようとする「裏切者」が入る可能性があります。
一部の密命カードには自分が裏切者であることが記されており、共通の目的を達成させないこと、また士気をゼロまで下げる(=ライフがゼロ、ゲームオーバー)にさせることを目的としています。
当然、裏切者であることは公開されないため、協力しているように見えるプレイヤー同士で疑いが常にあります。この可能性によって

 密命を達成させるために全体の利にならない謎行動をとる
こいつは裏切者では!?と疑われる
⇒全員の投票で追放される(以降、行動が強く制限される)

ということが起きえます。裏切者でもそうでなくても、自分勝手すぎる行動はできません…

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「職能者」と呼ばれる個性豊かなキャラクターも魅力的

5人でプレイしてみた

今回の共通の目的は「5ラウンド生き残ること」とシンプルなものでした。簡単そうに見えますが、初期設定で多くの人が砦にいるため、とにかく食糧を探し続けないとすぐに士気が下がってしまい、一筋縄ではいかなそうです。

ではどうやって食糧を集めるかというと、拠点となる砦の外に出ると6つある施設のどれかに行くことができ、そこでは探索をすることによって、食糧などのアイテムを手に入れることができます。ならば積極的にそうすればいいかというと、外に出るだけでダメージを追う判定がありますし、施設に人がいると孤立した状態で寄ってくるゾンビと戦うことになるので危険…というリスクを抱えてリターンを得る行動として外に出る選択肢があるということになります。

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これは病院を探索させているところ。ゾンビの恐怖が付きまとう…

とにかくガサ入れしまくる

自分の部下が探索に特化していることもあり、2人とも施設の外に探索をさせまくる作戦に出ました。特殊能力もあり、どんどんアイテムが集まります。そして、この行動は僕のある密命を達成するためでもあります。怪しまれる様子はありません…(笑)
密命はどんな種類があるのか?は多少ネタバレ要素なので控えておきます。とは言え、一度しか遊べない、というデザインのゲームではありません。

危機に備えよ

各ラウンドごとに、プレイヤーたちには「危機」が与えられ、それを回避するためには特定のアイテムを集めて捨てなくてはいけません。失敗すると、士気が下がったりさまざまなデメリットが起きるので、なんとしても成功させたいところです。

このシステムが裏切者のシステムと絡めてまた秀逸で、アイテムを集める際は周りに見えないよう裏向きにしたまま手札から捨てます。そして、ラウンドが終わってチェックする際は誰が出したか分からないように、公開前にシャッフルするので

「関係のないアイテムが捨てられていた!そのせいで危機が回避できなかった!どうやらアイテムを捨てた物の中に裏切者がいるらしいな…」

となるわけです。めっちゃ熱くないですか?(笑)
序盤では比較的アイテムに余裕があるので、数ラウンドは問題なく危機回避できました。これによって、今回のメンバーに裏切者はいないのでは?という雰囲気ができてきます。

そしてやってきた食糧不足

最終ラウンド一歩手前で、食糧が足りなくなり士気がひとつ下がってしまいます。 あと1ラウンドしのげば成功というところまで来てますが、生存者が死んだりしないよう油断できない状況です。 さらに、目的達成のために特定のアイテムを集める余裕もなく、危機の回避も諦めなくてはいけなそう。

土壇場で空気を読まない人々

そんな極限状態の場面でも、各自は密命達成に動かないといけないわけで

「じゃあ外に出て探索します。」
「…○○さん!?状況分かってます?砦にあふれるこのゾンビをなんとかしましょうよ!」

という小競り合いが発生します。この茶番やってる感じが本当に楽しい(笑)
あくまで自分のキャラは自分に行動決定権があるので、だいたい手番が後ろの人が尻拭いをさせられる仕組みになってますね。

ギリギリの結末

なんやかんやあり食糧は尽きたまま、士気が残り1というところまで下がりましたが…

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なんとか生き残ることができ、目的達成しました!
そして、なんとプレイヤー5人全員が密命も達成できていました。やはり裏切者は今回はいなかったようで、安心しました。

互いに密命を公開すると
「あーだからこの時あんな行動してたんだー!」
と答え合わせをしているようで振り返りも楽しいですね。

しかし、裏切者がいなかったからいいものの、目的達成がギリギリでしたのでもし混じっていればまずクリアできていなかったと思います。もっとみんな協力しましょう、ってことですね(笑)

完成度の高いシステム+ゾンビ映画のような体験=名作

システムや面白い点をまだまだ紹介しきれていないところはありますが、このゲームはゾンビ映画やドラマの世界観をベースに作られており、極限状態でシリアスなはずがどこか少し茶番感があるというところがまさにそれを再現、追体験できる仕組みとなっていて本当に秀逸です。ゲームとしても意外とコンパクトにまとまったシステム、目的達成の難易度バランス、ダイスやカードの引きによる適度な運要素、どこをとっても非常に完成度の高いゲームと言えると思います。ゾンビ映画好き、ライトに遊びたい人、ヘビーボードゲーマー、ありとあらゆる人向けに超おオススメします。

総合評価:S+
9.0/10.0